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MONTHLY CHIT CHAT
MARCH 2010
LIL' LOUIS

2月10日、MICROCOSMOSで魂のプレイを見せたリル・ルイス。 ハウス・ミュージックのオリジネーターの一人としてシーンを牽引してきた重要人物の目指す、新たな表現方法。
2004年に突然の引退、5年後の2009年に本とCDを同時リリース、そして今回はそのプロモーションを兼ねてDJとしての来日を果たしたわけですが、日本のファンにとっては情報が断片的だったと思いますので、これまでの経緯を詳しく教えていただけますか?

<LIL' LOUIS:以下LL>実をいうと、2004年の引退当時から今回の本を書く事は決めていたんだ。でも本を書くなんて初めての経験だし、アーティストとして活動している以上は本も素晴らしい出来にしたかったから、長い時間を掛けて集中したいと思ったんだ。何せ初めてのことだからどれだけ時間が掛かるか予想もつかず、皆にアナウンスできなかったんだよ。この本のエッセンスは僕の今までの恋愛関係の軌跡で、CDはそれに対する女性サイドからの返答(アンサーソング)という構成になっているんだ。でも、やっと一通り終えてみると今度は自分がいかにDJingとオーディエンスを恋しがっているかを実感したんだ。特にシカゴはもちろん、東京のような特別な場所をね。東京は僕の第二のホームタウンだと思っているから、今回はプロモーションだけど、こうして直接音楽をかけに来れてうれしいよ。

もともと本を書くきっかけは何だったんですか?

<LL>
ちょうど96年にそれはもうひどい恋愛を終えたばかりで、そのことを兄貴に話したら「お前の恋愛話っていつもながらとんでもないけど、いっそ本でも書いたら面白いんじゃないの?」と勧められたのが最初なんだ。僕は自分の恋愛についてオープンにする方じゃなかったからその提案は受け流したけど、度々思い出しては考えずに居られなくなったんだ。愛は世界共通のものだし、僕が恋愛で抱えていた問題はきっと、他の皆も共感できて同じように解決したい根源的な問題なんじゃないか、てね。そうやっていつしか男女間のミステリーを解けないものか、て真剣にハマっていったのがきっかけだよ。

アンサーソングの内容ですが、これは女性側の回答を自分で仮想したものなんですか?それともまさか、聞いて回ったとか…

<LL>
いや、さすがにそれはない(笑)。取ってあったラブレターから引用したんだ。あとは留守電の一部、そして僕は日記をつけているからそこからも引き出した。もちろん表現や内容はそのままだよ。僕の持論だけど、男は産まれながらに男なわけじゃなく、経験を通して男になっていくものだと思うんだ。だからCDも本も、どんなに自分がみっともなく描写されていてもそれは偽りなく伝えて、今の僕を形成した部分と、あとは男女両方から見た良い/悪い/クレイジーな部分を描きたかったんだ。全てを晒すのはとても難しかったけど、やってみてものすごく価値があったと思うな。

女性サイドのアンサーソングをCDで出すというアイデアは面白いですよね

<LL>
これも実はエピソードがあって、当初は本の出版しか考えていなかったんだけど、書き始めて1年後くらいに人を集めて朗読会をやったんだ。そこで僕が自分の書いた文章を一通り朗読したら会場にいた女性から、内容が男性からの一方的な視点でしか描かれてないからフェアじゃない、と痛烈な批判を受けたんだ。確かに言われてみれば全くその通りで、それからというもの2年くらい掛けてさっきも言ったように留守電、手紙、日記をたよりに女性の視点で意見をまとめていったんだ。こんなに長い間かけて女性の頭の中を考えるのはなかなか無い体験だったよ、貴重な経験だね。

音の方向性としてはどうでしょう?

<LL>僕が学んだり影響を受けた音楽は全て入れたよ。ハウスからR&B、あとはクラシックやジャズの要素も入れたかな。でも内容はあくまでシンプルでインパクトのあるものにしたつもりだよ。

先ほど日記の話が出ましたけど、いつからつけているんですか?

<LL>日記は4歳の頃からつけていて、もう90冊くらいになるかな。

90冊!しかも4歳から日記、というのはご両親の意向だったんですか?

<LL>いや、ウチは両親が厳しかったから、怒られてはよく殴られていたんだけど、僕の場合はそれに対して反抗するより、何かに書いてぶちまけるようになっていたんだ。その行為が日記に繋がっていった感じかな。とにかくその頃は親とか兄弟の文句ばっかりだったよ(笑)

でも、その後12歳でDJingを始めてきっと出会いも増えて日記の内容も変わっていったんじゃないですか?

<LL>そう…だね。て、いま話を女の子方面に持っていこうとしたよね。(笑)

いや、もしも差し支えなければなんですが…、今まで何人くらいの女性と付き合ってきたんですか?

<LL>うーん…。50人にも満たないんじゃないかな。僕は浮気とか二股とか全くしてこなかったし興味もないし、常に一人の人に全神経を注ぎ込んできたんだ。

すみません、“French Kiss”のイメージを勝手に膨らませていた側としては正直、その情報は新鮮です。

<LL>同時期に何人も付き合ったり、という気は全くしないんだよね。だから本の中身は色んな女性と同時期に起きたクレイジーな話じゃなくて、一人一人、真剣に付き合った上でのクレイジーな話が転がっている感じかな。

日本の女性と付き合った事は?

<LL>残念ながらそれはないんだ。一度だけアフリカ系アメリカ人と日本人のハーフと付き合った事があるけど、それだけかな。

それにしても、かなり若い頃からDJ/トラックメーカー/クラブオーナーとして多くのオーディエンスに晒されているという生活は、実際はどんなものだったんですか?

<LL>それを一言で表すとしたら、今思い浮かぶのは“Lonely(孤独)”だろうね。本物のアーティストでいることって、つまりは誤解の対象になりやすいんじゃないかな、という気がしているんだ。さっきの話じゃないけど、実際“French Kiss”のヒットで一気に僕の印象は“プレイボーイ”とか“変態的”になったのをみても明らかだしね。でも誤解を受けながらもアーティストは芸術の高みを目指すし、そういう意味で孤独なんだろうね。だからDJやって曲作って、いつも多くの人に囲まれてはいたけど、内心は孤独に浸っていた気がするな。

それは人との本当の繋がりを感じられなかったということですか?

<LL>
というわけでもなくて、例えば同じフロアでDJとして音楽をかけてオーディエンスとグルーヴを共有することはあっても、もっと芸術性や創造的な観点での理解は別にある、という感じかな。でもそれは悪い事じゃないし、それは人によって曲の受け入れ方も多種多様なのはあたりまえだからね。むしろアーティストとしては孤独感を気に入ってる部分もあるから。

最後になりますが、今後の活動について教えてください。音楽制作/DJは復活の方向ということなんでしょうか?それとも文筆業と並行していくんですか?

<LL>
音楽は今も昔も僕の体の一部だから続けるよ。最近Facebookでもアナウンスしたんだけど、DJingは死ぬまで続けるつもりなんだ。でも正直、今の僕は映像作りに一番夢中になっているんだ。映像作りの何が好きかって、今までは音楽を通じてある種のイメージとか色を伝えようとしても実際はなかなかイメージまでは伝わらないジレンマがあったけど、映像にはそれが一切ないところかな。色をダイレクトに伝えられるからね。そこに自分の音楽を乗せることもできるわけだから、僕としては表現手段が増えてとても刺激的なんだ。もうすぐだけど、今年の5/21には僕の脚本・監督・主演で本と同名の"A Man's Diary"の映画と舞台がシカゴで公開予定なんだよ(詳細はThe Official Site for Louis Burns : http://lil-louis.com/ にて告知予定)。だからDJingは今までのような頻度ではできない。けど、人の繋がりを大事にして続けていきたいな。直接的な人との繋がりは、逆に映像方面では絶対にありつけないからね。だからシカゴや東京等の特別な場所はこれからもスペシャルなセットを持ち込みたいと思っているよ。映像と一緒にね。


LIL' LOUIS
"Massive Attack"の前身であるDJ/サウンドシステム・ユニット"The Wild Bunch"のオリジナルメンバー、DJ MILO。 12歳からの長いDJキャリアのなかで、500万枚以上のセールスを記録した「French Kiss」を初め、数々のビッグヒットを連発。04年にDJ活動を休止するも、昨年アルバム「Two Sides to Everystory」&著書「a Man’s Diary」リリースを記念して待望の復活を遂げたレジェンダリーアーティストである。

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