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MONTHLY CHIT CHAT

●まず、お二人のご関係というか、親しくなられた経緯を教えてください。

<松浦:以下M>もう20年以上前なんですけど、クラブキングっていうプロダクションカンパニーで働いてたときにイベントのスタッフを募集したことがあって。そのとき人を介して来てくれたのが井上君だったんですよ。

<井上:以下I>当時僕はバンドでギターをやってたんですけど、ちょうどDJカルチャーに興味が出てきてた頃で。2tトラックに機材を積んで、会場まで運転したりしてました(笑)。いい思い出です。

<M>あの頃は「面白い人がいたら会ってみよう、面白いものがあったら見てみよう」っていうのが普通にあって、音楽でもアートでも映画でも、海外のアンダーグラウンドな情報なんかを皆きちんと捉えようとしてた。そんな時期に井上君と出会えたのはよかったですね。

●松浦さんがその後UFOを作って「JAZZIN’」を始めたころ、時代が一気に変わっていくような実感はありましたか?

<M>そうですね。世の中的にも天安門事件があったり、ベルリンの壁が壊れたり、時代が大きく変わろうとしていた時期で。自分たちも「変わることを恐れずに変わっていこう」という意識はありました。今との違いを言うと、今って大きくなった世界が怖いから小さく変わろう、っていう感じだと思うんですよ。逆にあの頃は、大きかったものがどんどん近くなるような実感がありましたね。ただ、UFOが絶対にうまくいく、なんて確信は全然なかったですよ。当時は僕らのような活動の、成功のケーススタディもなかったわけで。ただ考えていたことを一つずつ具現化するってことしかなかった。結果的にそれがうまくいったってことなんでしょうけど。人間頑張れば何とかなるというか(笑)。別に戦略会議開いてやるようなものでもないですしね(笑)

●当時お考えになっていたのは、一言でいうとどんなことなんでしょう?

<M>それまでバラバラだったものを、つなぎ合わせて新しいものを創ること。世界が近くなる実感って音楽にもあって、当時の東京にはもう世界中の音楽がありました。だったら東京で生まれた音も、たとえばアメリカやイギリスやイスラエルの街で普通に買えるような状況になったらいいなと。セールス的に売れる売れないじゃなくて、純粋にそんな未来があったらいいな、っていう思いですね。


●井上さんにとってもUFOというのは大きなインスピレーションを与える存在でしたか?

<I>もちろん松浦君たちが築いてきたものは、あまりにも偉大で。意識するにしてもしないにしても、僕らがその影響下にあったのは間違いないですよね。僕の場合は、その中でエキゾチシズム、あまり都会的に洗練されていない土着文化というものをテーマにしてやってきて、chari chariとしてアルバムを出したところから本格的に物事が始まっていったわけですが。

●“The Beach”では、どんなことをやっていきたいですか?

<M>名前については、お店の噴水が中南米あたりのリゾートホテルみたいで、なんか海っぽいなと。それで決めました。クラブって、もとは自由な場所だったじゃないですか。それが最近は変な決まり事みたいなのができちゃって、アーティストも含めてみんな息苦しいんですよ。だからもっと自由に。僕と井上君が一緒にやること自体みんなイメージできないと思うんですけど(笑)、井上君が好きだからでも、僕のプレイを聴きたいからでも、または家が近いからとかでも、来てくれる理由は何でもいいんですよ。ビーチみたいにふらっと行ってふらっと帰ろうと思ってたら、けっきょく朝までいちゃった、みたいな。そういうのが理想ですね。

<I>僕がDJに興味をもったきっかけはアシッドジャズが大きかったんですけど、大造さんとAIRで酔っ払って話してたときに、去年の夏以降アシッドジャズがまたきてるって話題になって。僕自身そんなプレイをやってみたいんだけど、AIRでやるわけにはいかないし、とか言ってたら、しばらくして大造さんから「松浦君とやってみない?」って電話がありまして。

●では、井上さんは“The Beach”でジャズよりのプレイを?

<I>うん。でも、今個人的にイメージしているのとは結果的に違うものができたらいいなと思いますけど。

<M>面白いのは、逆に僕はエキゾチック、土着的なものをやりたいんですよね。ふだんとは真逆(笑)。想像できないことを、とにかくやってみようよと。やってるうちに見えてくるだろうと。

<I>ほんとに想像できないのが、とにかく面白い。

<M>ふだんだったらフライヤーにも「こういうパーティでこんなプレイをします」って入れるんですけど、今回は文章では一切語ってない。タイトルの上にExotic、Jazz、Dance Musicってあるだけ。Dance Musicっていうのは井上君から提案のあった言葉で、確かにオールジャンルとかいうよりもしっくりくるなと。そんなのジャンル名じゃないですけどね(笑)。でも、ある意味それがすべてを物語ってる。あとは来てくれる人たちと皆で創っていこうって感じですね。特に1回目、どれだけ巻き込めるかが大事だと思います。それもできれば、昔を知ってる人たちを巻き込んでいきたい。

<I>確かに、クラブに来なくなった人たちが来れるパーティにしたいな、っていうのは大きいですね。ノスタルジックなものでは全然なくて。以前遊んでいた人たちと今遊んでる人たちがミックスされていくと、なお面白いし。濃い一夜にしたいです。

●先ほどクラブシーンが息苦しくなった、というお話がありましたが。

<I>僕たちは本当に自由な時代を知ってますからね。松浦君なんか、もっとだと思うけど。

<M>それに、大変になっても突っ張り続けるスタンスってけっこう大事だと思うんですけど、最近は、流行とかある暗黙の了解に従ってすぐキャラを変えちゃう人が多い気がするんですよね。もちろん時代に合わせて変わっていくのがDJなんだけど、筋の通らない変わり方をする人が多い。それでクラブに来る若い人も学ぶべきことを学べなくて、ただ刹那的に時間だけを消費してるというか。だから、このパーティを通して、そんな状況を引き戻したいなと。踊りたい人は踊ればいいし、飲みたい人は飲んでればいいし、ただ喋りたいひとは喋ってればいい。それは昔の西麻布ピカソの頃と何も変わらないんだけど、クラブを一度リセットして今の気分で始めてみたらどうなんだろうという。

<I>いや、すごい的確ですね。今の全文掲載でお願いします(笑)。でも本当に歴史を全部知ってる人にしか言えないことだし、それが実現したら最高だよね。

<M>とにかく今クラブに来ても「何か感じるな」っていうのがないでしょう。それを皆欲してると思うんだよね。ここで2人で始めることが4人になって8人になる。で、気づいたらもっと大きいところでやってみようか、ってなってもいいと思うんですよ。はっきり言って、それを見せてあげたいな。

<I>緊張感ありますよね。重くない緊張感ですけど。ふだんお互いやってることとは、確実に別種の空間ができるわけじゃないですか。そういう意味で、いつもと違う大きな緊張感があります。結局自分が酔っ払って落ちちゃった、ってことになるかもしんないけど(笑)。

<M>逆に最後井上君が酔ってひっくり返るくらいになるといいな。僕なんかいつもひっくり返ってるんで、あれですけど(笑)。今回のフライヤー作ってくれた子が言ってたんだけど、「井上さんって昔MIXの外で朝方よく倒れてましたよねえ」って(爆笑)。ふだんイメージがクールだからね。

●最後に今、音楽以外に興味のあることってありますか?

<M>(熟考して)・・・音が鳴っていないものから、どう音を発生させるか。たとえば読書にしても、僕は一冊の本を半端に読んだり、途中でやめちゃったりするんだけど、あるセンテンスつながりで読む本をつないでいく、みたいなことをやってるんですね。で、これってなんか○○○っぽいなってセンテンスがあったら、そこから音楽を発生させていくというような。本でも建築でもファッションでも、80年代頃って無意識にそれをやってた気がするんですよ。過去の抽出なんだけど、その抽出の仕方が面白いというか。

<I>発想がDJ的だよね。

<M>僕は楽器をやらないから、井上君みたいに何気なくギターを弾いて音符でメモするなんてことはできない。何かネタがあったらiTunesにとりあえず放り込んどけ、みたいな。そのうち何かに使えるだろ、みたいな(笑)。それしかできないんだよね。40代になって、もうそれを認めようと。原点に戻っていいんじゃないかという気がしてるんです。

●井上さんはどうですか?

<I>音楽以外の興味は、まあ、色々あるんですけど、読書でいえばジャンルが違うけどテーマが似たようなものを連続的に読破していく、みたいなことをやってますね。最近読んでるのは「未来学」に繋がるもの、スピリチュアルな事象を科学的な目線で説明していくようなものなんですけど。そこにひっかかるキーワードがあれば、それを自分の音楽に導入できないかなって考えたり。あとはフィジカル的なもの、身体能力を磨いたりすることが音楽と結びついたらどうなるのかな、っていうことにすごく興味があります。

●なるほど、結局すべてが音楽にもどってくるんですね(笑)?

<I>そうですね(笑)。でもさっきの松浦君の話に戻ると、つながりのないところにつながりを見つけていくという思考方法に最大の衝撃を受けて、僕はDJカルチャーにのめりこんでいったんですよね。それは編集的だし、批評的だし、クリエイティブで潰えないもの。それが芽生えた80年代以降は、そんな思考をベースにいろんな面白いことができあがってきたんだと思います。

<M>いい意味の出会い頭の事故が、いっぱいあったらいいなって。人にしても最初は「こいつ違うよ」と思ったけど、気づいたら一緒だったみたいなね。だからDJにとって大切なことは、いかに意識的に出会い頭の事故を誘発させるか、なんじゃないかな。“The Beach”でやろうとしてることも、それに近いと思いますよ。ビーチって何かありそうでしょ?出会い頭の事故が(笑)。

<I>そういう場所にできたら最高だよね(笑)。

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